味噌の着色と保存方法について

6月になり暖かい日が続くようになってきました。気温が高くなるとお客様より「味噌の色が濃くなっているけど問題はないか?」といったお問い合わせをいただくことがございます。
そこで、今回の加賀みそコラムでは、味噌の色に関係するメイラード反応と、味噌の保存方法についてご紹介します。

 

当組合で製造している米みそは大豆と米、食塩から作られる調味料です。また、大豆はたんぱく質を、米は炭水化物をそれぞれ多く含んでいる食材です。
このたんぱく質が分解されて作られるアミノ酸と、炭水化物が分解されて作られる糖がメイラード反応(または、アミノカルボニル反応)と呼ばれる着色反応を起こすことにより、熟成過程において味噌の着色が進行し、美味しそうな褐色になっていきます。

味噌原材料の大豆・米・食塩です。

 

このメイラード反応は、フランスの生化学者Louis Camille Maillard(1878-1936)によって発見された化学反応であり、味噌や醤油の着色の他、肉や魚を焼いたときにつく焼き色や飴色玉ねぎ、フレンチのガストリックソースにもこのメイラード反応が関係しています。
メイラード反応による着色や褐変は、温度が高くなるにつれて進みやすくなります。つまり、調理の際に加熱することによって、このメイラード反応が引き起こされているのです。メイラード反応によって褐色に色づいた食材は、味の深みや香ばしさが引き出されるため、様々な調理方法における香味付けとして活用されています。

 メイラード反応による食パンの色付き

 

メイラード反応によって味の深みや香ばしさが引き出されることから、味噌においては、メイラード反応の進行は良い面と悪い面があると言えます。
味噌の熟成過程においては、大豆に由来するアミノ酸と米に由来する糖がメイラード反応を引き起こすことにより、味噌らしい茶褐色や風味をもたらしてくれます。
一方で、このメイラード反応が進むことにより、より重厚な風味が引き出されることから、味噌の保管中に風味が変化してしまう場合があるのも事実です。
特に、夏場においては室内であっても30℃を超えることがあり、味噌のメイラード反応が著しく進行するとともに、味噌の風味が変化してしまう可能性があります。

みそ

 

メイラード反応による味噌の着色は変質や腐敗ではないため、着色が進んだ味噌を召し上がられても体に害はありません。しかしながら、味噌屋としては、おいしさを保てる方法で味噌を保管いただき、美味しく味噌をお使いいただきたいと考えております。
温度が高くなるにつれてメイラード反応は進みやすくなります。そこで、味噌を美味しくお使いいただくためにも、味噌を購入された後は、未開封でも冷蔵庫の中など涼しい場所での保管をおすすめします。
また、家庭用冷凍庫の温度(-20℃前後)で味噌は凍らないため、長期間味噌を保管される場合には、冷凍庫で保管するのも一案かもしれません。

 

まとめ

  • 味噌の着色には、味噌中のアミノ酸と糖によるメイラード反応が関係しています。
  • メイラード反応は味の深みや香ばしさを引き出すことから、様々な調理方法にも活用されています。
  • 味噌のおいしさを保つため、購入後は冷蔵庫での保管がおすすめです。

 

 

加賀味噌食品工業協業組合では、加賀みそ専門オンラインショップを運営しております。

当オンラインショップは工場直営のため、ご注文を受けてから味噌を蔵から出し、容器に詰めてお届けしております。食べ頃の味噌をお届けしておりますので、ぜひ一度お試しください!